グローバル化が加速する中、ビジネスにおける翻訳作業のボリュームが増え、重要性も高まっています。
しかし、人材不足や業務の属人化など、実は多くの企業が翻訳業務に関する課題を抱えています。
本記事では、グローバルビジネスにおける翻訳業務の課題を挙げるとともに、翻訳業務を効率化するメリットやAI翻訳について解説します。
目次
グローバルビジネスと翻訳作業の必要性
グローバル化の進展により、多くの企業で国境を越えたビジネスが展開されています。海外市場への進出や国際的なパートナーシップの構築は、今や企業の成長戦略として欠かせません。
グローバルビジネスを円滑に進めるためには、言語の壁を乗り越える必要があります。契約書や製品マニュアル、マーケティング資料、日々のメールなど、ビジネスに関わる様々な文書を関係者全員が理解できる言語に翻訳しなければなりません。
グローバルビジネスの加速とともに、翻訳作業の量が増え、重要性も増しているのです。企業は、高品質な翻訳を迅速に提供できる体制を整えることが求められています。
【人材流出の要因にも?】翻訳業務の課題
ここでは、企業が抱える翻訳業務の課題に触れていきます。
翻訳できる人材が不足している
翻訳業務の量が増えている一方で、翻訳できる人材が不足しているという課題があります。
多くの企業において、翻訳業務はまず、社内の語学が堪能な従業員に割り振られます。もちろん翻訳会社に外注する選択肢もありますが、費用や対応スピードなどの観点から、特に内部で使用する文書やメールなどは社内で対応するのが基本とされているケースがほとんどです。
しかし、増え続ける翻訳業務に対して、対応する従業員の数は簡単に増やせるものではありません。新たに採用するにしても、ビジネスに必要な専門知識を持ち、かつ言語能力に長けた人材の確保に苦戦する企業は少なくありません。
翻訳に時間がかかり、コア業務に集中できない
専門的な知識が求められる契約書や製品マニュアルなどの翻訳には、多大な労力と時間がかかります。人による翻訳は、速度や処理量において限界があるのです。
その結果、本来注力すべきコア業務に十分な時間を割くことができず、業務全体の生産性が下がってしまう恐れがあります。
グローバル人材に翻訳業務が集中している
多くの企業で、語学力の高いグローバル人材や、特にネイティブレベルの人材に翻訳業務が集中する傾向にあります。依頼されるものは、メールや資料、契約書の作成までさまざまです。このような状況を、翻訳業務を割り振られる従業員側はどのように捉えているでしょう。
「日本語以外の言語の利用機会が増えることで引き起こされる問題」についてアンケート調査をしたところ、42%が「翻訳自体、創造的な作業ではないので、モチベーションが下がる」と回答しています。

翻訳は、語学が堪能ではない人からすると、創造的な作業に見えるかもしれません。しかし、グローバル人材にとってはそうではないのです。そのため、翻訳作業が増えるほど、自分の力を発揮できたり成長につながるようなクリエイティブな仕事に就けていないと感じ、モチベーションが大きく低下する原因となっているのです。
また、この実態が管理職層に十分に認識されていないことも問題として挙げられます。翻訳作業の負荷が高まる一方で、適切なサポートやフォローが十分にされていないのです。
結果としてグローバル人材のモチベーションが下がり、早期で退職してしまうリスクが高まります。例えば、外資系企業であれば翻訳作業が不要なため、そのような企業に流出してしまうでしょう。これらの人材流出は、企業の競争力に大きな影響を与えかねません。
グローバル人材が退職することによる損失
グローバル人材の退職は、企業にとって大きな損失となります。
全ての採用が人材紹介によるものではないので、一概には言えませんが、例えば、グローバル人材を人材紹介会社(エージェント)経由で採用すると、少なくない紹介手数料がかかります。ビジネスレベル以上の英語力のある30代男性の平均年収は、同年代の平均より高い577万であり(※)、その35%にあたる201.9万円が紹介料の相場です。
そのような人材が早期に退職してしまうと、採用にかかったコストが無駄になってしまいます。仮に5人退職したとすれば、人材紹介料だけで1,000万円ほどの損失になるのです。
グローバル人材の退職によって、業務の引き継ぎや後任者の育成などにも時間と費用がかかります。
さらに、彼らが担っていた業務が滞ることで、他の部署や業務にも影響が及ぶ可能性があるでしょう。これらの間接的な損失を考慮すれば、グローバル人材の退職による企業の損失は数倍にも跳ね上がりかねません。
企業は、この問題を企業の成長に係わる重要な課題と捉え、増え続ける翻訳業務をどのように効率化するか、組織的な解決が求められる局面に立っているのです。
※出典:ヒューマングローバルタレント株式会社の調査「英語力と年収の関係 2023年版」より翻訳業務の課題を一挙に解決するAI翻訳とは?
翻訳業務の効率化の手段として一部の企業で導入されているのがAI翻訳ツールです。AI翻訳は近年大きな進歩を遂げており、ビジネスの現場で求められる翻訳精度や機能、セキュリティを備えたツールも登場しています。
AI翻訳の組織導入は企業に大きなメリットをもたらします。
翻訳業務に割く時間や労力を削減できる
AI翻訳ツールの活用により、翻訳のスピードアップや品質の安定化が図れ、人手による翻訳作業に割いていた時間や労力を大幅に削減できます。
例えば重要性の低い文書の英文作成、ミーティングレジュメの作成や問い合わせメールの翻訳などは、語学スキルに関わらず、各従業員がAI翻訳を活用し翻訳を行う。グローバル人材は重要性の高い翻訳業務のみに集中するなど、分業を徹底し、翻訳プロセスを見直すことで、無駄な作業を省き、組織全体の生産性を高めることもできるでしょう。
コア業務に専念できる
コア業務に専念できるのも、翻訳業務を効率化するメリットの一つです。AI翻訳ツールの組織導入により、翻訳作業を半自動化したり、誰でも翻訳できる環境を整えたりすることで、社員は本来割くべきコア業務に専念できるようになります。
社員のモチベーション維持や人材の流出予防にもつながるでしょう。
まとめ
グローバル化が進む現代において、翻訳業務は企業にとって重要な業務です。多くの企業では、そのような翻訳業務を、言語スキルの高い人材に割り振るという形で対応しています。
しかし、人手だけに頼る翻訳作業は時間と人的コストがかかるのがネックです。また、貴重なグローバル人材の流出の要因となりえることも見えてきました。
そのようなコストの問題、人材の問題を解決するという意味においても、AI翻訳は、今やグローバルビジネスに欠かせないツールとなりつつあります。自社の翻訳業務の効率化・最適化を図るために、AI翻訳の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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