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英文ビジネスメール作成術⑦:英文謝罪メールの書き方徹底解説【シーン別・深刻度別例文付き】

2025.07.14

「やってしまった…」

海外の取引先や顧客へのミス。冷や汗が出て、心臓がバクバクする。どう謝ればいいのか、このまま関係が悪化してしまったらどうしよう…と、不安でいっぱいになりますよね。

その失敗、まだ取り返せます。
適切なコミュニケーションを取れば、事態の悪化を防ぎ、相手との良好な関係を維持することは十分に可能です。

この記事では、状況に合わせてすぐに行動できるよう、「問題の深刻度」に応じた謝罪のフレーズを紹介します。また、英語のフレーズ紹介に留まらず、欧米のビジネス文化を理解し、あなたの誠意を「行動」で示すための具体的なステップについても徹底解説します。

この記事を最後まで読めば、冷静に、そして自信を持って、このピンチを乗り切るための一歩を踏み出せるでしょう。

第1章:なぜ「とりあえず謝る」はNG?日本と欧米、謝罪に対する文化の違い

私たちがついやってしまいがちなのが、「とにかく謝らなきゃ」と焦って “I’m sorry.” を連発すること。しかし、これが欧米のビジネスシーンでは逆効果になることがあります。

その理由は、コミュニケーション文化や言語的な違いにあります。

  • 日本の「すみません」: 謝罪だけでなく、感謝や問いかけにも使われる表現。状況や相手への迷惑に対して、まずは共感と遺憾の意を示すことで関係性の維持を優先します。
  • 欧米の “I’m sorry.”:より直接的に「自分の非を認める」というニュアンスが強くなります。

米国では謝罪が法的な「責任の承認(admission of fault and liability)」と見なされることがあるため、人々は謝罪の言葉に非常に慎重です。 また、欧米のビジネスパーソンが謝罪に期待しているのは、反省の言葉以上に

  • 「何が起きたかという事実(Fact)」
  • 「責任の所在(Responsibility)」
  • 「具体的な解決策(Solution)」

の3点です。
「とりあえず謝る」がNGというのはつまり、「事実確認や原因究明が終わる前に、反射的・無責任に謝罪の言葉を口にすること」を避けるべきだ、ということです。

第2章:【まず状況を見極める】謝罪の3つの深刻度レベル

謝罪が必要な事象が起きた時、まずやるべきことは、今起きている問題がどのくらい深刻なのかを客観的に見極めることです。なぜなら、問題の深刻度合によって、適切な謝罪の英語表現や対応の仕方が大きく変わるからです。

この記事では、問題の深刻度を以下の3つのレベルに分けて考えます。

  • レベル1:業務進行上の軽微な手違いや失敗
    相手に実質的な損害はないものの、約束を守れなかったり軽微な手間をかけさせたりしたケース。
    具体例:遅刻や返信遅延、資料提出の遅れなど
    適切な対応:1回のメールでお詫びとリカバリー策を伝える
  • レベル2:成果物・提供情報に関するミス
    相手に金銭的・時間的なコスト(実害)を発生させ、具体的な修正措置や対応が必要となるケース。
    具体例:請求書の金額間違い、報告データの誤りなど
    適切な対応:迅速な事実確認の上で、明確な責任の表明と具体的な修正措置(原状回復)を提示する。状況に応じて、第4章で解説する3ステップでの段階的なコミュニケーションが必要となる。
  • レベル3:相手の事業遂行に影響を与える問題
    単なる成果物のミスにとどまらず、相手の事業遂行やスケジュールに直接的な影響を及ぼす問題。個別の修正だけでなく、今後の見通しや代替案の提示など、計画的なコミュニケーションが求められる。ここでの対応品質が、信頼関係を維持できるかどうかの分水嶺となるケース。
    具体例:納期の遅延、提供しているシステムのトラブルや障害など。
    適切な対応:社内に定められたインシデント発生時の対応フローがあれば、まずそれに従います。今後の見通しや代替案、再発防止策を含めた計画的な対応を関係者や責任者と協議して決め、先方へ誠実に伝えます。第4章で解説する、対応の3ステップや謝罪表現も参考にしてください。

■本記事で扱う範囲を超えるレベルについて

なお、上記のレベル3をさらに超える、企業の信用や存続そのものに関わるような危機的状況も存在します。

こうした事態では、本記事で紹介するようなコミュニケーションの手順や工夫だけで対応することは極めて危険です。ただちに社内の規定に従い、法務部門や顧問弁護士、経営層といった専門家や責任者に判断を委ねてください。

第3章:【例文で学ぶ】状況別・謝罪メールの書き方(レベル1-2)

ここからは実践編として、具体的なメールの書き方を見ていきましょう。この章では、まずレベル1レベル2のケースについて解説します。

レベル1:業務進行上の軽微な手違いや失敗への対応

相手に実質的な損害はないものの、約束を守れなかったり軽微な手間をかけさせたりした場合は、迅速かつ簡潔に、相手への配慮を示すことが大切です。

たとえば、返信遅延のケースでは、以下のようなメールが適切です。

■例文1:返信遅延のお詫び


Subject:Apology for my late reply
(件名:返信遅延についてのお詫び)

本文:
Dear [相手の名前],

Please accept my pologies for the delay in getting back to you.
(ご連絡が遅くなり申し訳ございません。)
I have been looking into your request and will provide you with an update by the end of tomorrow.
(ご依頼の件については調査をしており、明日中には最新の情報をお知らせいたします。)

Thank you for your patience.
(お待ちいただきありがとうございます。)

Best regards,
(敬具)
[自分の名前]

■例文内で使用している表現のポイント
  • Please accept my apologies for…:
    I’m sorry for… よりも少しフォーマルな響きがあり、ビジネスメールではより好まれます。「私のお詫びを受け入れてください」という丁寧な表現です。
  • Thank you for your patience.:
    「お待ちいただきありがとうございます」というポジティブな表現で締めくくるテクニックです。

件名について
件名は、相手がメールの内容を推測できるよう、「何についてのメールか」を明確に記します。

<その他の件名の例>
●Apology for the delay in submitting the Q2 Report
(第2四半期報告書 提出の遅れについてのお詫び)
●Apology for being late to our 14:00 meeting
(14時の会議への遅刻のお詫び)→メール本文で「10分遅刻します」など、より詳細に。

レベル2:成果物・提供情報などに関するミスへの対応

相手に金銭的・時間的なコスト(実害)を発生させ、具体的な修正措置が必要となるケースです。事実確認を行い、自社の非が明確になった場合は、責任を認め、具体的な解決策を提示する必要があります。

たとえば、取引先に間違った請求書を送ってしまった場合、どのようなメールを送ればよいでしょうか?

■例文2:請求書ミスの謝罪


Subject:Sincere apology regarding incorrect invoice (#12345)
(件名:請求書番号#12345の間違いに関する、心からのお詫び)

本文:
Dear [相手の名前],

Please accept our sincere apologies for the incorrect invoice (#12345) you received.
(誤った請求書(#12345) をお届けしましたことを深くお詫び申し上げます。)
The error was due to a clerical mistake on our end. We take full responsibility for this.
(原因は、弊社の事務的なミスでした。この度の件は、全面的に我々の責任です。)

We have already issued a corrected invoice, which is attached to this email. Please disregard the previous one.
(既に修正版の請求書を再発行し、このメールに添付いたしました。以前のものはご放念していただきますようお願いいたします。)

We deeply regret any inconvenience this may have caused.
(ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。)

Sincerely,
(敬具)
[自分の名前]

■例文内で使用している表現のポイント
  • sincere apology:
    sincere (誠実な) を加えることで、謝罪の気持ちが深く、心からのものであることを強調できます。
  • We take full responsibility for…:
    「我々が全責任を負います」と明確に宣言する、信頼回復の鍵となる非常に重要なフレーズです。責任の所在を明らかにすることで、相手に誠実な印象を与えます。
  • We deeply regret any confusion…:
    regret は「遺憾に思う」という強い後悔の念を表す動詞です。apologize(非を認めて謝る)と合わせて使うことで、「混乱させてしまったことを大変申し訳なく思っております」という深い気持ちを伝えられます。

■件名について
「謝罪」であることを明確にしつつ、どの案件に関する問題かを具体的に記載します。請求書番号や注文番号などを入れると、相手は状況をすぐに把握できます。

<その他の件名の例>
●[Important] Correction to the “Q2 Sales Report”
(【重要】「第2四半期セールスレポート」の訂正)

次の章では、段階的なコミュニケーションが必要な、レベル3の謝罪対応について詳しく解説します。

第4章:【信頼維持の3ステップ】問題解決のためのコミュニケーション術

第2章で見たような「成果物に関するミス(レベル2)」が複雑化してしまったり、より深刻な「事業遂行に影響を与える問題(レベル3)」が発生してしまったりした場合、一度のメールで全てを解決しようとするのは困難であり、かえって不誠実な印象を与えかねません。

相手との信頼関係を維持し、問題を着実に解決に導くためには、時系列に沿った段階的なコミュニケーションが不可欠です。本章では、特にレベル3の事態を念頭に置いた、問題解決のための3ステップを解説します。

【大前提】対応を始める前に、必ず自社のルールを確認してください

本章で解説するステップを始める前に、何よりもまず、自社で定められた危機管理マニュアルやインシデント対応フローを確認・遵守することが最優先です。

レベル3の問題では、上長や関連部署との連携が必須となります。本章で解説する3ステップは、そうした社内ルールに沿って行動する上での、お客様やお取引先に対するコミュニケーションの「型」や「心構え」としてご活用ください。

ステップ1:【一次報告】迅速さで相手を安心させる

  • 目的: 問題を認識したことを速やかに伝え、相手の「問題が放置されているのでは?」という不安を取り除くこと。
  • タイミング: 問題を覚知してから24時間以内。
  • ポイント: この段階では安易に原因を断定したり、過剰な謝罪や責任の表明をしたりせず、「問題を受理し、調査を開始した」という事実を伝えることに徹します。
  • フレーズ例(相手からの指摘で発覚した場合):
    We have received your email regarding [案件名] and are currently looking into the matter. We will provide an update within 24 hours.
    (【案件名】に関するメールを拝受し、現在調査しております。24時間以内に進捗をご連絡いたします。)
  • フレーズ例(自社で先に発見):
    We are writing to inform you that we have identified an issue with [サービス名]. Our team is now investigating the cause, and we will share more details by [時刻]. We sincerely apologize for any inconvenience this may cause.
    (弊社の【サービス名】に問題が確認されたため、ご連絡いたしました。現在、チームが原因を調査しており、【時刻】までに詳細をご報告いたします。ご不便をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。

ステップ2:【詳細報告・謝罪】誠実さで信頼を維持する

  • 目的: 調査結果、原因、具体的な解決策、再発防止策を伝え、誠実に謝罪すること。ここがコミュニケーションの核となります。
  • タイミング: 原因が究明され、対策が決定した後。
  • ポイント: 特にレベル3の場合は、担当者任せにせず、時には責任者が説明することも重要です。
■例文3:納期の大幅遅延に対する詳細報告・謝罪

Subject:An Important Update and Our Sincere Apologies Regarding Order #S-9876
(件名: ご注文番号#S-9876に関する重要なお知らせと、心からのお詫び)

本文:
Dear [相手の名前],

My name is [責任者の名前], and I am the [役職] at [自社名]. I am writing to you personally to provide an update on your Order #S-9876 and to extend our deepest apologies for the significant delay.
(私は[自社名]の[役職]、[責任者の名前]と申します。この度は、ご注文番号#S-9876の状況をご報告し、また、深刻な遅延につきまして心からお詫びを申し上げたく、ご連絡いたしました。)

We are fully aware that this delay will disrupt your production schedule, and we understand the difficult position this puts you in.
(この度の遅延が、貴社の生産計画に支障をきたし、皆様を大変困難な状況に置いていることを重く受け止めております。)

Following a thorough investigation, the new estimated shipping date is now [新しい発送予定日]. We have arranged for expedited air freight at our full expense to minimize further delays upon shipment.
(社内調査の結果、新しい発送予定日は[新しい発送予定日]となる見込みです。発送後の遅れを最小限にするため、弊社負担にて航空便による迅速輸送を手配いたします。)

I, as the [役職], will personally oversee this matter until your order is safely delivered. We are deeply committed to regaining your trust.
(この私が[役職]として、ご注文の品が無事にお手元に届くまで、責任をもって本件を監督することをお約束いたします。皆様の信頼を回復できるよう、全力を尽くす所存です。)

Respectfully,
[責任者の名前]
[役職]
[自分の名前]

ステップ3:【フォローアップ】継続性で関係を再構築する

  • 目的: 提示した解決策がきちんと実行されていることを示し、問題を完全にクローズさせること。
  • タイミング: ステップ2の報告後、解決策の実行中および完了後。
  • ポイント: 「やりっぱなしにしない」という真摯な姿勢が、相手の信頼を維持し、今後の良好な関係に繋がります。
  • フレーズ例(進捗報告):
    This is a quick update on the issue. We are on track to complete the corrective actions by [日付].
    (本件に関する進捗のご連絡です。修正対応は[日付]までに完了する予定で進めております。)
  • フレーズ例(解決報告):
    We are pleased to inform you that the issue has now been fully resolved. We thank you for your patience and understanding.
    (本件、完全に解決いたしましたことをご報告申し上げます。長らくのご辛抱とご理解に感謝いたします。)

ここで、問題のレベル別の謝罪表現について整理してみましょう。 深刻度が上がるにつれて、使うべき表現も変わってきます。その全体像をまとめたのが、以下の表です。

深刻度 レベル1:業務進行上の軽微な手違いや失敗 レベル2:成果物・提供情報に関するミス レベル3:相手の事業遂行に影響を与える問題
謝罪の表現 Apologies Sincere apologies Deepest apologies
責任の表明 (明確にはしないことも) Take full responsibility We take full
responsibility for this failure.
相手への配慮 Thank you for your patience. We regret the inconvenience this has caused. I understand how
frustrating… (共感)
結びの言葉 Best regards, Sincerely, Respectfully,

第5章:【最終チェック】避けるべきNG表現3選

ここまで作成した謝罪メールも、たった一言で相手の心証を損ねてしまうことがあります。送信ボタンを押す前に、以下のNG表現が含まれていないか、最後にチェックしましょう。

  1. 言い訳に聞こえる表現
    ● NG例:It was not my intention, but… (そういうつもりではなかったのですが…)
    ● なぜNGか: 自分の意図を正当化しており、責任を軽く見せようとしている印象を与えます。
    ● 改善案:We take full responsibility for…(~は、全面的に我々の責任です)
  2. 他人事のような受動態
    ● NG例:A mistake was made. (間違いがありました。)
    ● なぜNGか:誰が責任者なのかを曖昧にし、無責任に聞こえます。受動態表現の多い日本語からの直訳に気を付けましょう。
    ● 改善案: We made a mistake.(我々が間違いを犯しました)
  3. 条件付きの謝罪
    ● NG例:I’m sorry if you were offended. (もし気分を害されたのなら、ごめんなさい。)
    ● なぜNGか:責任を相手の感情に転嫁する、最も不誠実な謝罪の一つです。
    ● 改善案: I sincerely apologize for my inappropriate remark.(私の不適切な発言について、心からお詫び申し上げます)

まとめ:誠実な謝罪は、最強のビジネススキルです

どれだけ注意深く仕事を進めても、意図せぬ失敗が起きてしまう可能性はゼロではありません。しかし、その後の対応こそが、あなたの真価、そして会社の真価が問われる瞬間です。

最後に、信頼を維持・回復する謝罪のポイントをもう一度おさらいしましょう。

  1. まず深刻度を見極める: 状況に応じて、適切な言葉と対応を選ぶ。
  2. 段階的に対応する: 問題の原因がすぐにわからない場合は、「一次報告」「詳細報告・謝罪」「フォローアップ」と、時系列で誠実に対応する。
  3. 社内ルールを最優先: 重大な問題では、必ず社内の指示に従う。
  4. 具体的な行動で示す: 謝罪の言葉だけでなく、「解決策」と「再発防止策」を具体的に提示する。

この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、次の一歩を踏み出す勇気に繋がれば幸いです。


■あなたの誠意を、より確かな形で届けるために

この記事で学んだステップやフレーズを使っても、いざメールを送るとなると、「この表現で、本当にこちらの誠意が伝わるだろうか…」と、送信ボタンを押す直前に不安になる瞬間がありますよね。

特に謝罪メールでは、わずかなニュアンスの違いが大きな誤解を生む可能性もゼロではありません。

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