株式会社京三製作所 AI自動翻訳の導入 海外事業拡大戦略の中、京三製作所が『FLaT』でめざす “誰でも外国語”

株式会社京三製作所は、鉄道信号システムやホーム安全設備、情報システム、交通管理システム、電力変換システムなど、幅広い分野に製品を提供している総合メーカーです。創業は1917年、神奈川県横浜市に本社を置いています。同社は、これらの製品とサービスを通じて、安定した鉄道輸送や電力供給、通信網の拡大など、社会インフラの安全性と利便性の向上に貢献しています。

同社では、2020 年6月より『Mirai Translator®』の正式利用を開始。本記事では、株式会社京三製作所 総務・法務部 小津夏実様、総務・法務部 大河内悠様、信号事業部 グローバル企画・営業部 ダニンドロ バズワルドノ様に採用の理由と活用状況を伺いました。

株式会社京三製作所

1917年の創業以来、国産初の自動閉そく信号装置や道路交通信号機、亜酸化銅整流器などの開発・製造を成功させ、「安全と信頼」を基調に信号システムのトップメーカーとして歩み続け、今日では基軸の「鉄道信号システム」「交通管理システム」「電力変換システム」に加え「ホーム安全設備」や「インフォメーションシステム」などの分野で事業を展開しています。KYOSAN VISIONは「Create for the Future」。人と社会に優しい街づくりを目指し、また安全で安定した鉄道輸送の実現に向けて、同社はたゆみなく努力を続けています。

株式会社京三製作所Webサイト

ご担当者様 
総務・法務部 小津 夏実(おづ・なつみ)様
総務・法務部 大河内 悠(おおこうち・ゆう)様
信号事業部 グローバル企画・営業部 ダニンドロ バズワルドノ 様

海外事業拡大戦略の中、京三製作所が『FLaT』でめざす誰でも外国語

出発点と選択の理由:翻訳ツールの乱立解消を決断。ファイル翻訳精度の高さで選ばれた『Mirai Translator®』

京三製作所 小津氏
小津氏

ー 皆さまの業務内容をご紹介ください。

小津:総務・法務部の総務グループに所属しています。株式関係業務やBCP関係、情報セキュリティ関係、CSR活動、規程作成、株主総会運営など、多岐にわたる業務を担当しています。各部門の業務改善につながる取り組みの導入も担っており、AI自動翻訳もその一環になります。

大河内:総務・法務部の法務グループに在籍しています。法務グループには大きく法務業務、コンプライアンス業務という2つの業務があります。私は、法務業務では、事業に関して各部署から上がってくる契約書のチェック、法律相談対応や契約書に関する講習会の開催などを担当し、コンプライアンス業務では、グループ会社の規程整備支援やコンプライアンスに関するマニュアルの改定などに取り組んでいます。

ダニンドロ:営業的な立場で鉄道信号事業の国際市場での展開促進を担当しています。現地子会社のサポートや販売・製造拠点の構築を行うとともに、さまざまな円借款案件への入札に応じ、現地パートナーと協力しながら当社製品の現地生産を促す取り組みを推進しています。現在、韓国やインドネシア、フィリピンでの引き合いや案件に対応しています。

ー 『Mirai Translator®』を選定いただくに至った経緯をお聞かせください。

小津:当社では、信号システム事業を中核として海外事業拡大が全社的な目標となっています。そのため社内の複数部門で翻訳業務の需要が増え、AI自動翻訳を使い始める部門が出てきました。しかし、それぞれ個別で契約し、複数の異なるツールを使っていたため効率がいいとはいえず、費用もよけいにかかるので、統一して会社として提供しようということになりました。この背景には、必要なのにツールを使わずに自力で翻訳業務を行っている人を支援し業務効率を上げようという意味合いもありました。セキュリティも気になっていたところで、セキュリティを確保できるAI自動翻訳ツールを使ってもらいたいと考えました。

そこで、高いセキュリティを確保できることを前提として、社内からAI自動翻訳ツールを5つ募り、比較検討した結果、『Mirai Translator®』に対して「操作が分かりやすく、翻訳精度も十分」「特にファイル翻訳が速い」という評価が集まりました。それで、有料サイトの利用者やヘビーユーザ以外にも翻訳ニーズがあるか確認する意味合いもあって、2020年2~3月にかけて全社で大規模トライアルを実施しました。アンケートを行った結果、操作性、ファイル翻訳における翻訳精度、費用の観点で合格点がついたことから正式採用を決めました。

ー その後、2021年2月に『FLaT』をご採用いただいています。

小津:費用で合格点がついたとはいえ、以前は幅広くIDを配布できず、40名ほどのヘビーユーザ中心でした。『FLaT』であれば、利用人数に制限がなくなり、利用頻度が少ない人でもAI自動翻訳が使えるようになって、会社全体で翻訳需要を満たせると考えました。また、これによって無料サイト利用者が減り、情報セキュリティ強化が見こめるという点も重要でした。費用対効果の高さもプラス材料に働きました。


京三製作所流の活用術:契約書から入札仕様書まで。分厚い重要文書にファイル翻訳を徹底活用

大河内氏
大河内氏

ー どのようにご活用いただいていますか。

大河内:契約書チェック業務の場合、相手先から契約書を受領するとすぐに『Mirai Translator®』の法務・財務モデルを使ってファイル翻訳にかけます。翻訳結果が生成された後は、翻訳結果で気になる部分を原文と見比べて内容の検討を行います。チェックポイントは、当社に不利な条件が課されていないか、追加で盛りこむべき条件がないかといったことで、過去の契約書も参照しながら確認します。

条文を修正する際は、記載されている英文を日本語にテキスト翻訳した上で、日本語で修正して逆翻訳をかけます。日本語で作成した条文をテキスト翻訳で英語化して契約書に盛りこむ場合もあります。ほぼ毎日使用しています。リスクの高い文書については専門弁護士にダブルチェックをお願いしますが、こちらの考えていることを相手にしっかり伝えるということを重視しています。

ファイル翻訳はPDFやPowerPoint、Word、Excelなどの装飾やレイアウトも原文通り翻訳可能
ファイル翻訳はPDFやPowerPoint、Word、Excelなどの装飾やレイアウトも原文通り翻訳可能

ダニンドロ:私の翻訳業務で最も重要なのは、直接取り引きしている現地のパートナー企業から入手した、大量の入札仕様書の和訳です。入札に関わるものなので、短期間で確認しながら当社が応札できる内容であるかを判断し、コストまで正確に計算できるようにするためにも、関係者全員が理解できるようしっかり和訳しなければなりません。PDF、Word、Excelをファイルごと『Mirai Translator®』に投入し、翻訳結果を確認・微修正してその日の内に社内外へ展開しています。

導入効果と今後の展望:レスポンス改善でカスタマーサクセスに貢献する一面も。「誰でも外国語」を目指して、知財分野での活用も検討

ー どのような点に『Mirai Translator®』を利用する価値・効果を実感されていますか。

小津:『FLaT』に移行したことで、現状350名が『Mirai Translator®』にアクセスできるようになり、利用頻度の高くない社員にも利用してもらえるようになりました。管理ツールを見ると、日本語や英語が母語でない社員もよく利用※しています。多くの人が気軽にアクセスできることで業務の幅が広がるとともに、業務効率化が図れているのではないかと思います。時間的価値も大きいですが、誰でも翻訳業務に取り組めるようになって業務の平準化が図れ、これまで翻訳業務を担当していた社員の心理的負担が軽減したのは大きな価値だと考えます。総務・法務部としては、社員が無料サイトへアクセスしなくなり、情報セキュリティレベルが向上したことも喜ばしいところです。

『FLaT』は20言語に対応:英語・中国語(簡体字/繁体字)、韓国語、アラビア語、イタリア語、インドネシア語、オランダ語、スペイン語、タイ語、ドイツ語、トルコ語、ノルウェー語、ハンガリー語(マジャール語)、フランス語、ベトナム語、ヘブライ語、ポーランド語、ポルトガル語、ミャンマー語、ロシア語

大河内:英語を日本語に、日本語を英語に変換するという作業への抵抗感が大きく減りました。これまでは気合いを入れないと取りかかれず、英語の業務は後回しになりがちでした。今は他の業務とまったく同列に進められます。翻訳に要する時間も大幅に減ったように思います。体感では1/3ぐらいになりました。『Mirai Translator®』を導入する前の契約書をチェックしてみると結構怪しいところが見つかったりするので、翻訳品質の高度化も実現していると思います。

ダニンドロ氏
ダニンドロ氏

ダニンドロ:特殊な技術用語に関して修正が必要ですが、自分で最初から文章を翻訳するよりも時間が大幅に短縮できており、従来に比べて1/6ぐらいになりました。また、早く翻訳結果を社内外に展開できるため、応札可否判断の重要な検討に早く取りかかることで、現地パートナーに早く返答できる意義は大きいと思います。レスポンスのよさが評価され、そのときは受注に至らなかったとしても、コミュニケーションの取りやすい会社として次の引き合いにつながることもあるからです。また、『Mirai Translator®』ではPDF翻訳するとPowerPointやWordといった編集可能なファイルへ変換できるため、PDFから手打ちで翻訳する苦労から解放されました。

ー 今後の展望をお聞かせください。

小津:日本語の業務と同じぐらい当たり前に海外文書を取り扱えるようになったらと思います。理想は「誰でも外国語」です。『Mirai Translator®』に望むことがあるとすれば、当社は技術用語が独特なので、これをうまく訳すためにユーザ辞書登録がもっとしやすくなるといいなあと思います。あるいは、別途ファイルをアップロードしたら、人工知能などを使って次からはそこを検索してくれる、というような方法でもいいかもしれません。

大河内:「誰とでも円滑にコミュニケーションが取れるようになる」というのが究極のゴールになると思います。文章は人や場面によって書きぶりが変わってきますので、人の癖や使用場面を踏まえた翻訳結果が生成されれば、ニュアンスの違いなどによるミスリードを防ぐことができるはずです。最終的には文章の翻訳だけでなく、会話の翻訳もできるとより良いと思います。

ダニンドロ:東南アジア・南アジア諸国への事業展開が広がるに伴って、いっそう書類のやりとりが活発化し、社内外向けの書類翻訳業務はさらに増加することが予想されます。相手国パートナーとの間でコミュニケーションに誤解が生じないよう、翻訳業務に携わる者は高い意識を持って臨むことが必要だと思っています。独特であることはわかっているのですが、『Mirai Translator®』に鉄道用語対応をしてもらえたらなあと思っています。

ダニンドロ氏

組織向けAI翻訳ソリューション FLaT