三ツ星ベルト株式会社 AI自動翻訳の導入 技術的なファイルも翻訳できる安心感。三ツ星ベルトが『FLaT』を全社標準ツールに選定

三ツ星ベルト株式会社は、日本を代表する産業用ベルトメーカーです。神戸を創業の地とし、創業から100年以上にわたり、産業の発展を支える革新的な製品を提供してきました。現在では、自動車・二輪・建機用伝動ベルトや一般産業用ベルト、エンジニアリングプラスチック素材、建築用防水材、土木用遮水材、電子材料・塗料と幅広い製品ラインアップを展開しており、その技術力は国内外で高く評価されています。

同社では、2025年3月より全社規模で『FLaT』の正式利用を開始。本記事では、デジタル戦略本部 本部長 兼 情報システム部 部長 松本 真和様、生産本部 生産管理部 業務物流担当 海外業務課 前田 みゆ様に採用の理由と活用状況を伺いました。

三ツ星ベルト株式会社

1919年に創業された老舗企業であり、神戸の地で100年以上の歴史を通じて産業用ベルト製品の開発・提供に取り組んできました。その堅実な技術力と革新への情熱は、時代を越えて信頼を築き上げています。創業以来、日本の産業の発展に貢献、高品質な製品を通じて世界中の顧客からも評価され、今や売上高の海外比率は5割を超えています。基本理念は「人を想い、地球を想う」。 その伝統と経験が、現在の優れた製品群を支える大きな柱となっています。

三ツ星ベルト株式会社Webサイト
会社紹介動画(Youtube)

ご担当者様 
デジタル戦略本部 本部長 兼 情報システム部 部長 松本 真和(まつもと・まさかず)様
生産本部 生産管理部 業務物流担当 海外業務課  前田 みゆ(まえだ・みゆ)様


創業の地(神戸市長田区)である三ツ星ベルト神戸本社

出発点と選択の理由:セキュリティとコスパが二大決め手。「全社標準としてなら『FLaT』一択」

松本氏
松本氏

ー お二人の業務内容をお聞かせください。

松本:当社のデジタル戦略本部は情報システム部とDX推進室の2部門からなり、私はこの本部を取りまとめています。デジタル戦略本部全体の目標としては、DXの流れの中、三ツ星ベルトグループ全体のデジタル活用に目線を置き、業務効率向上や工数削減の観点からいかにITを駆使して効率よく仕事をするかということに注力しています。

前田:私の所属部署は生産本部 海外業務課です。国内工場で生産するベルトなどの輸出業務、海外拠点からの問い合わせ対応を行っています。

三ツ星ベルトの主力製品である伝動ベルト
三ツ星ベルトの主力製品である伝動ベルト

ー 『FLaT』の導入以前、貴社では翻訳業務をどのように行われていましたか。

松本:多くの社員は無料の翻訳ソフトを使っていました。情報漏えいのリスクがあるため、翻訳にかけるのは単語レベルにとどめるというルールを定めていましたが、ルールだけでは守れるものではないことは認識していました。当社には情報セキュリティ委員会という各事業部や各ロケーションから担当者を集めて議論する全社横断組織があり、そこでもたびたびテーマに上がっていました。

一方、一部では部門ごとに有料の翻訳ソフトを契約し、グローバルサイトや法務文書の翻訳に利用していました。こちらでは社内に翻訳ソフトが複数存在してしまうことに課題を感じていました。

業務効率向上の観点からも、全社員にきちんとした翻訳ソフトを配布したいとは考えていました。グローバルの時代になり、また売上高の海外比率が5割を超える中で、当社でも翻訳を必要とする社員は増え続けています。頻度は毎日かもしれないし、10日に1回かもしれませんが、なければやはり不便です。しかし、多くの有料翻訳ソフトはライセンス体系がユーザー単位で、全社で使うとなると相当な金額になり、利用を拡大するわけにはいきませんでした。標準ツールが不在の状態だと、外国語が堪能な社員であっても本来の業務にプラスアルファの負担がかかりがちです。非常にジレンマを感じていました。

前田:会社のルールに従い、無料の翻訳ソフトで単語レベルにとどめて業務を行っていましたが、なかなか作業がはかどらず不便に感じていました。


アジアを始めとして中東、欧州に数十に及ぶ営業・生産拠点がある三ツ星ベルト。海外からの問い合わせも多く、多岐にわたる言語でのコミュニケーションが発生する(引用元:三ツ星ベルト

ー そうした中で『FLaT』を知っていただきました。

松本:2024年5月に情報セキュリティ関連のセミナーに出席したとき、関連企業と個別に話す機会があり、そこでみらい翻訳と出会いました。NTTグループが出資していて信頼できるサービスであること、非常にセキュリティに気を配っていて二次利用がないこと、翻訳のベンチマーク結果も高いこと、『FLaT』というユーザー数によらずに使えるサービスがあることを知って、これは当社でいい使い方ができるのではないかと思いました。

実は、競合他社さんからも接触がありました。そのサービスもなかなかのものでしたが、みらい翻訳のアプローチには高い熱量がありました。やはり熱意というのはこちらに伝わってきます。それほどのものならということで、全社トライアルへ進むことにしました。

トライアルで確認したかったのは、翻訳スピード、こちらの伝えたいニュアンスがうまく翻訳されるかどうかという意味での精度、ユーザーインタフェースの使いやすさ、操作性です。言語としては英語、インドネシア語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語で試し、ネイティブスピーカーに自然な訳文であるかチェックしてもらいました。これまでファイル翻訳は利用したことがなかったため、どのように使えるのか、Wordなどのレイアウトがくずれたりしないのかといったことも見たいと思いました。結果は良好で、社員アンケートでも8割を超える社員から好意的な反応が返ってきました。


※『FLaT』は20言語に対応:英語・中国語(簡体字/繁体字)、韓国語、アラビア語、イタリア語、インドネシア語、オランダ語、スペイン語、タイ語、ドイツ語、トルコ語、ノルウェー語、ハンガリー語(マジャール語)、フランス語、ベトナム語、ヘブライ語、ポーランド語、ポルトガル語、ミャンマー語、ロシア語

ー 導入を決めていただきましたが、最も大きな理由は何でしたか。

松本:一つはセキュリティです。情報セキュリティ委員会でも危惧したように、もともと個人用の無料翻訳ソフトを、企業としていつまでも「これを使ってください」といっているわけにはいきませんでした。もう一つはコストパフォーマンスです。他の有料翻訳ソフトとは雲泥の差があり、当社で標準ツールとして使うなら『FLaT』しかないと思いました。やはり製造業ですから、コスト意識は非常に高いものがあります。いかに効率よく費用を抑えた形で導入できるかどうかは、当社で非常に重視されているポイントです。

三ツ星ベルト流の活用術:テキスト翻訳はメールで、ファイル翻訳は顧客からのチェックリスト対応やグローバルサイト構築に

前田氏
前田氏

ー どのようにご活用いただいていますか。

前田:私は海外拠点にいる現地の外国人スタッフとメールでやり取りをする機会が多く、自分の書いた英語をテキスト翻訳で日本語に翻訳して内容を確認してから送ったり、向こうから来た英語のメールをさらっと把握したいときに利用しています。海外業務課には英語や中国語を苦としないメンバーが多いのですが、多いときにはアメリカのみを担当している私でも1日10件程、複数の地域を担当しているメンバーには数10件規模で送られてきます。

時差がある場合は1回のやりとりがすごく重要になるため、抜け漏れのないよう考える必要がありますし、時差がない場合はやりとりの応酬になるため、スピードが求められます。一つひとつ自分で考えるとなると手間もかかり大変ですが、一気に翻訳をかけられるのはすごくありがたいです。

一方、ファイル翻訳は、注文書やベルトの図面、サイズ、仕様が書かれた技術文書を訳すときなどに利用しています。また、英語力を高める助けにもなっています。たとえば「~~によると」は自分だとAccording toを使いがちなのですが、場合によってはBased onの方が適切に表現できるとか、人ではなく無生物を主語にした方が英語としては自然になるといったことが改めてわかって有用です。

個人的には逆翻訳の3分割画面がとても好きです。見やすくて、使いやすくて、上下で並んでいるためどこが変わっているかもすぐ把握できるのがいいですね。

ファイル翻訳はPDFやPowerPoint、Word、Excelなどの装飾やレイアウトも原文通り翻訳可能
ファイル翻訳はPDFやPowerPoint、Word、Excelなどの装飾やレイアウトも原文通り翻訳可能

松本:情報システム領域では、海外顧客から送られてくるExcelのセキュリティチェックリストなどをファイル翻訳にかけています。200ぐらいある質問を今まではセルを一つひとつコピー&ペーストしながら日本語に訳していました。今では1ファイル当たり2~3時間の時間短縮が可能になっています。昨今はESG関連のチェックリストも増えており、回答期限がある中で、そうした業務に迅速に対処し、先方に回答できるのは営業上プラスになっています。

加えて、DX推進室の取り組み業務の一つにグローバルサイトの構築があり、言語によって『FLaT』のファイル翻訳を利用しています。やはり、『日本語→現地語→日本語』の逆翻訳で文章の正確性を確認できることがメリットで、1ページあたり1時間ぐらいの作業時間短縮が図れているとのこと。それ以上にグローバルサイトとして間違った情報を掲載しないですむ安心感も評価されています。

導入効果と今後の展望:全社標準ツールの誕生が最大の成果。特にファイル翻訳機能でコスト以上の効果を実感

エンジニアリングプラスチック素材
エンジニアリングプラスチック素材

ー どのような点に『FLaT』を利用する価値を見出していただいていますか。

松本:翻訳に関して全社レベルで標準ツールとして使えることになったことが一番です。しかもコスト的にも非常に安価です。みんなで使えてコストが抑えられているという点を非常に評価しています。もちろん業務効率向上効果も大きく、特にファイル翻訳が使えるようになったことで、投資した分は十分回収できるのではないかと思っています。セキュリティという観点でも、先ほどファイル翻訳の話が出ましたが、製造業にとって信頼できるサービスでなければ翻訳にかけられません。セキュリティに詳しくない社員にも「そのまま使っていい、気にしなくていい」と推奨できるのが非常に大きいと思います。

ー 今後の展望をお聞かせください。

松本:一つは海外拠点への展開ですね。三ツ星ベルトグループとして、同様の形でルールを作ってガバナンスを活かすことを進めていきたいと考えており、コストの点で合意できるなら、今すぐにでもという思いです。また、海外拠点とのリアルタイムのコミュニケーションももっと活発化させたいですね。たとえば、オンライン会議でリアルタイム翻訳などを使ってテンポよくやりとりできるようになれば。口語の、それも関西弁が交じる日本語をうまく英語に翻訳してくれるツールが現れてくれたらと考えています。

ー 『FLaT』へのご要望もお願いします。

前田:当社はMicrosoft Edgeが標準ブラウザなので、『FLaT』がGoogle Chromeに加えて、こちらでも拡張機能として使えたらうれしいです。問い合わせ対応の一環で、先方企業の会社概要やロケーション、商品ラインナップページをぱっと見て、当社のどの製品に関心があるのかを把握するのに利用できれば業務のスピードを上げるのに役立ちます。

『FLaT』選定チームおよびユーザーの皆さま
『FLaT』選定チームおよびユーザーの皆さま