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AIエージェントとは?生成AIとの違いを徹底解説【“自律的AI”の本当の意味】

2025.11.25

ChatGPTをはじめとする生成AIの登場で、「AIとここまでやり取りできるのか!」と驚いた人も多いでしょう。さまざまなタスクに生成AIを利用する人も増えてきました。

そして、最近はこんな言葉を耳にするようになりました。
「これからはAIエージェントの時代だ」

AIエージェントとは?
生成AIとAIエージェントは、何がどう違う?
この記事では、そんな疑問に答えていきたいと思います。

まず整理しよう:「生成AI」とは?

生成AI(Generative AI)は、その名の通り何かを生み出すAIです。
テキスト・画像・音声などを、与えられた指示(プロンプト)に基づいて生成します。

たとえば:

  • 「会議の議事録を要約して」
  • 「新しい製品名を考えて」
  • 「この文章を英語にして」

こうしたリクエストに対し、文脈を把握して答えを“生成”できるのが生成AIです。 いわば、非常に博識な、受け答えの達人

ただしその知能は、基本的に“1つの質問に1つの答え”という単発型です。
会話はできますが、目的を持って連続した行動を取ることはできません。

では、「AIエージェント」とは何か?

AIエージェントは、生成AIが持つ「言葉を把握して答える力」に加えて、人との対話を通じて状況を把握し、目的に沿って手順を組み立て、合意された範囲で実行する“仕組み(構造)”です。

たとえば、AIエージェントは次のようなことが可能です。

  • 「今の会話の流れから、次に必要な情報を取得する」
  • 「タスクの完了状況を確認し、必要な人に通知を出す」
  • 「目的に向けて複数のツールを使い分ける」

AIエージェントの3要件:インタラクティブ性・自律性・インテリジェンス

AIが“エージェント”と呼ばれるためには、次の3つの要素がそろっている必要があります。

① インタラクティブ性(Interactive)

AIエージェントは、単発の命令とそれに対する反応で終わるのではなく、継続的な対話を通じて状況を把握します。

たとえば、ユーザーがAIエージェントに「毎週金曜の定例会議の議事録を作成する」という継続的な目的(タスク)を設定したとします。
AIエージェントは今週の議事録を作成した後、その内容(例:「来週までにAを決定」)と、カレンダー上の来週の予定(「金曜の定例会議」)を照らし合わせます。 そして、目的を先読みし、ユーザーに、 「今週の議事録をまとめました。来週の会議のアジェンダ(議題)に、今週の積み残しタスク『Aの決定』を追加しておきますか?」といったやり取りを自ら持ちかけます。

つまり、AIエージェントは相手の意図を把握しながら、次の応答やアクションを調整する存在です。

② 自律性(Autonomy)

「自律的に動くAI」と聞くと、勝手にどんどん動いてタスクを完了してくれるようなAIを想像するかもしれません。しかし、エージェントをそのように捉えるのは、(現在においては)間違いです。
AIの自律性とは、与えられた目的に即して、許可された範囲で手順(計画)を組み立て、実行したり、必要に応じて再計画したりする性質を指します。

たとえば、「レポートを部長に提出する」という目的に対し、AIエージェントは「関連データを整理 → ドキュメントを作成 → 指定先に送付」という一連の処理を選択し、実行します。このとき、送付権限まで付与するのか、それともメール文の下書き作成で止めるのか、あるいは送付先が社内/社外かを判断させ行動を分けさせるのかは、すべて設計次第です。

つまりAIの自律性とは、AIの暴走でも全面おまかせの自動化でもなく、目的達成に向けた手順の実行のことなのです。

③ 高度なインテリジェンス(Intelligence)

AIエージェントは、単に情報を処理するだけでなく、意図・状況・感情・優先度といった“文脈”を把握します。
つまり、AIエージェントは「何を言われたか」だけではなく「なぜ今それが必要か」に即して手順を最適化できます。
そのため、同じ指示でも、条件に応じて、異なる応答やアクションを選択できるのです。

<生成AIとAIエージェントの違い>

観点 生成AI AIエージェント
主な役割 応答や生成 把握・判断・実行
対話構造 単発(1ターン) 継続(目的志向)
自律性 指示に従う 目的に基づいて行動を選択
行動範囲 コンテンツ生成 外部情報の取得・処理・通知など
目的 指示をこなす 成果を導く

生成AIとAIエージェントは「別物」ではない

ここが誤解されやすいポイントですが、生成AIとAIエージェントは別の技術ではなく、進化の流れの中にある関係です。

生成AIが「知的に答える力」を持つのに対して、AIエージェントはそこに「目的を把握して遂行する力」を加えた存在です。つまり、生成AIが“考えるAI”なら、エージェントは“考えて動くAI”。

そして、この“動く”とは、人と同じ目的を共有し、判断を積み重ねながら行動を設計することを意味します。AIが主体的に動くように見えても、その行動の方向は常に「人の意図と設計の延長線上」にあります。これこそが、前のセクションで述べた「自律性」の具体的な姿なのです。

実は、最新の生成AIは、すでにAIエージェントの特徴を内包し、“エージェント的な存在”になりつつあります。

たとえば:

  • 会話の履歴(文脈)を記憶し、継続的なやり取りができる
  • 外部ツールやシステム(カレンダー、検索、スプレッドシートなど)と連携できる
  • 複数のステップを計画的に実行できる(例:「まずデータを分析し、次 にグラフを作成する」)

これらはすべて、「単に答えるAI」ではなく、目的を把握し、プロセスを設計できるAIのふるまいです。

つまり、今日の生成AIはすでに「質問に答えるだけ」の存在から、「目的を把握して行動を設計する」存在へと進化中です。生成AIとAIエージェントとの違いは、個別の能力の有無ではなく、それらの能力を、どれだけ自動的・継続的に組み合わせて動けるか、その「仕組み」や「役割」の違いなのです。

AIエージェントを支える技術要素

AIエージェントは、複数の技術の融合で成り立っています。

  • 自然言語処理(NLP):意図・文脈・感情の把握
  • 大規模言語モデル(LLM):知識と推論の中核
  • ツール使用(Tool Use):外部システムやAPIとの連携
  • メモリ(Memory):対話や履歴の記憶
  • プランニング(Planning):タスク分解・行動選択の計画化

これらが組み合わさることで、AIは「人の指示を待つ存在」から「目的を把握して支援する存在」へと進化します。

まとめ

  役割 言わば…
生成AI 言葉を把握し、答えを出す “非常に博識な助言者”
AIエージェント 意図を把握し、行動を導く “状況を把握して人と協働するアシスタント”

AIエージェントは、生成AIの次のフェーズにあります。それは「AIがすべてを自動化する」未来ではなく、人の目的を把握し、ともに動くAIの姿です。

AIが勝手に考えるのではなく、人の意図に寄り添いながら判断・実行を担う――。そこに、これからのAIの“自律”の本質があるのです。

AIエージェントを正しく理解することは、単なる技術トレンドを追うことではなく、これからの「AIと人の協働」の未来像を具体的に描くための第一歩となるでしょう。