株式会社カカオピッコマ AI自動翻訳の導入 「結論しかわからない」がなくなった。誰もがどこでもいつでも使えるリアルタイム音声翻訳が引き上げた組織の相互理解。

株式会社カカオピッコマは、電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」を展開する企業です。国内外の出版社やコンテンツホルダーと連携し、幅広い作品を届けるとともに、縦スクロール形式の「SMARTOON」など、新たなマンガ体験の普及にも注力しています。日本の作品に加え、韓国をはじめ海外の魅力あるコンテンツとの出会いを創出し、作品と読者をつなぐプラットフォームとして成長を続けています。多彩な作品をより身近に楽しめる環境を整え、デジタルコンテンツ市場のさらなる活性化に貢献しています。

同社では、2021 年10月より『みらい翻訳』のテキスト翻訳の利用を開始、続いて『みらい翻訳 FLaT』、リアルタイム音声翻訳『リスニングアシスタント』(以下、『LA』)を導入しています。本記事では、カカオピッコマ 経営支援本部 営業支援室 室長 兼 通訳翻訳チーム / チームリーダー 渕本富久様、AX推進室 舛井一文様に採用の理由と活用状況を伺いました。

株式会社カカオピッコマ

株式会社カカオピッコマは、韓国のIT大手Kakao Corp.を親会社として2011年7月に株式会社カカオジャパンとして設立された日本法人です。2016年に電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」を開始し、2021年に現社名へ変更しました。スマートフォンで隙間時間に気軽に作品を楽しめる新たな読書スタイルを定着させ、成長を遂げてきました。2023年には年間取引金額1,000億円を突破。「作品First」を基本方針に、作者、編集者、出版社を尊重、企業ビジョン「HAPPY EVERY DAY.」のもと、作品との新たな出会いを通じて人々の日常に楽しさと幸せを届けることをめざしています。

カカオピッコマの企業サイト

ご担当者様 
経営支援本部 営業支援室 室長 兼 通訳翻訳チーム / チームリーダー 渕本富久(ふちもと・とみひさ)様
AX推進室 舛井一文(ますい・かずふみ)様

出発点と選択の理由:通訳翻訳チーム長の条件を唯一満たした『みらい翻訳』

渕本氏
渕本氏

ー 皆さまの業務内容をご紹介ください。

渕本:当社は、2016年より電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」を運営している会社です。親会社は韓国のIT大手Kakao Corp.で、単行本単位ではなく1話、2話という単位で購入できる「話売り」、対象作品を1話読んだあと、一定時間待つと、次の1話も無料で読める仕組み「待てば¥0」といった独自のサービスを提供し、読者とマンガやノベルとの出会い方を大きく変えてきました。

2021年、サービスが大きく伸びたことを受けて、社員数が100名単位で増えました。私も韓国語の通訳翻訳を担うために、このタイミングで合流した一人です。現在は、営業支援業務を行いつつ、通訳翻訳チームのチーム長も兼務しています。

舛井:私は社長直轄のAX推進室に所属しています。ここでは、当社内におけるAI活用推進とAIを使った新しい事業の創出をミッションとしています。メンバーの多くが韓国語ネイティブで、日常的に日韓のコミュニケーションが発生します。

舛井氏
舛井氏

ー 『みらい翻訳』を選定いただくに至った経緯をお聞かせください。

渕本:社員が大幅に増えたときに、韓国語のみを話す人材も増えました。それで私が入社することになるのですが、通訳翻訳の業務量は多く、残業が増え続けました。それで「さらに通訳翻訳人材を増員するか」という議論になったときに、AI自動翻訳ツールはどうかと。今まで「ツールなんて」と思ってきましたが、調査してみたところ確かに翻訳精度は上がっており、そこへ社内推薦で挙がってきたのが『みらい翻訳』でした。

セキュリティ評価も高く、2022年5月から『FLaT』のトライアルを開始

渕本氏に『みらい翻訳』を推薦したのは、同じ部署のメンバーでした。翻訳精度もさることながら、このメンバーが最も高く評価したのはセキュリティでした。

「ピッコマ」には韓国や中国の作品もラインナップされています。コンテンツ業界は契約が生命線といえ、機密性の高い情報が含まれることから、入力情報が学習に利用されるようなツールは利用できませんでした。また、成長著しい企業であることから、法務や財務のからむさまざまなプロジェクトが常に動いていますが、『みらい翻訳』には法務・財務専用の機械翻訳エンジンが存在するため、専門用語を違和感なく訳せます。さらに、ファイル翻訳機能があり、MicrosoftのPowerPointやPDFファイルを、装飾やレイアウトをくずすことなく、丸ごと訳すことが可能でした。


『みらい翻訳』は全処理、国内サーバー完結、ISO27001(ISMS)も取得し、守秘レベルの高い会議も安心

加えて、ID数・翻訳量無制限の『FLaT』があり、ユーザー数の増加を気にすることなく、コストを抑えて利用することができました。この評価は日英の言語ペアを前提としたもので、2021年当時、日韓言語ペアの翻訳能力は必ずしも十分ではなかったといいます。しかし、同社が確認した範囲では、他のツールで散見された初歩的な語義選択の誤りが『みらい翻訳』では見られなかったことから、2021年10月からテキスト翻訳を導入。他のツールは、同社の要件に照らすと、セキュリティを始め条件を満たすものがなく、検討に至りませんでした。2022年5月には経営戦略室主導で、導入を前提とした『FLaT』トライアルを実施しています。

カカオピッコマ流の活用術:通訳不足を解消したのは、相互理解を損なわない翻訳スピードを実現したリアルタイム音声翻訳

ー どのようにご活用いただいていますか。

渕本:翻訳はファイル翻訳が中心です。対象は海外の市場分析資料や企業情報などです。今では日韓ペアの翻訳精度の向上を実感しています。


ファイル翻訳はPDFやPowerPoint、Word、Excelなどの装飾やレイアウトも原文通り翻訳可能

その後、当社のニーズは音声翻訳に軸足が移っていきました。社内外のコミュニケーションで通訳のニーズが増し、通訳専門人材を採用しましたが、通訳への依頼が集中し、日程調整に時間がかかる場面が増えていきました。

通訳の稼働に依存しない体制を整えたいと考えていたところで『LA』を知りました。リアルタイムに訳すし、文の区切りで示してくれてわかりやすい。日英ペアでそうなら言語的に近い日韓ペアはもっと期待できると思い、2026年2月に対応が発表されるやいなや検討・導入しました。

対面会議で、出席者がそれぞれのPCで『LA』を立ち上げ、これを見ながら話をしています。日韓ペアでも、当社が他のツールを試した範囲では訳の表示が遅く、読み終わったときにはもう話題が次へ進んでいるということがありましたが、『LA』は本当に即時です。しかも、訳し漏れがありません。通訳が入っている会議でも『LA』を併用することで、聞き逃しを防ぐ補助として活用できています。


『LA』は遅れがほぼない「リアルタイム翻訳」。発話の途中から逐次的に翻訳を表示するリアルタイム翻訳(End-to-End型)を採用しているため、遅れがほぼ発生せず、スムーズな会話の理解を実現

舛井:私のところは、まったく新しいものを生み出そうという部署であるため、社長を交えて一日フルにワークショップを行って、その後居酒屋に席を移して二回戦、といったことを頻繁に行います。韓国語を話せるメンバーが多いので韓国語で話した方が早い場面もあるのですが、日本の会社なのだから日本語で話そうという文化が当社にはあります。そのため、韓国語も話せるバイリンガルのメンバーが通訳に回ることも多く、本来議論に集中してほしい人が別の役割を担ってしまう状況がありました。

そうした中で『LA』の存在を知り、活用し始めました。会議室の大きなモニターに『LA』を映してみんなで共有するとともに、自分のPCでも立ち上げて見ています。これまでは、日本語に訳されてはいるけれど何を言っているかよくわからないこともありましたが、今は結論に至るプロセスの細かいニュアンスがはっきりわかるようになりました。話の流れに自然に乗れていることを実感します。

渕本:最近は中国への出張も増えているのですが、出張者がアカウント発行を依頼してきました。これまでは中国語の通訳者を外部から手配していましたが、『LA』が肩代わりする場面が増えています。

導入効果と今後の展望:コストを抑えながら多言語会議の頻度/密度が向上。通訳リソースを本当に必要な場面へ集中

ー どのような点に『みらい翻訳』を利用する価値を見出していただいていますか。

渕本:現在は、社内の約60名がアカウントを持っています。それでもすでに大きなコストダウンを実感しています。これまでは通訳者に頼りがちで「社内がダメなら外部でいいから何とか確保してほしい」という依頼を受けてきましたが、今は多くの業務で『FLaT』や『LA』を駆使して自助努力で業務をこなせるようになっているため、外注コストの削減につながっています。

舛井:会議の頻度と密度も向上していると思います。通訳者の空き時間に依存することなく、PCさえ持っていけば、いつでもどこでも出席者の国籍に関わらずミーティングが開催でき、お互いに話がわかるので濃い議論ができるようになりました。オブザーバーとして参加したい、といったニーズにも応えており、業務に関わる姿勢が高まっています。

渕本:通訳翻訳人材の業務時間最適化という観点でも役立っています。実は、会議に入ってみたけれど、通訳が要るほどの話ではなかったということがあります。出張もまたしかり。『LA』に働いてもらうことで、通訳翻訳人材がより本質的な業務に集中できるというメリットがあります。逆に、会議で機密度合いの高い情報を扱うときは、情報流出を防止するためにできるだけ同席する人の数を抑えたいという場合があります。そのような時も『LA』を用いれば、コアメンバーだけで安全に会議が行えます。

つい先日、通訳翻訳ツール利用に関するガイドラインを策定しました。翻訳人材はCATツールを使いますが、翻訳者ではないけれど急いで翻訳しなければならない資料がある、しかも機密情報が含まれている、という場合は『FLaT』を案内します。生成AIも翻訳に利用して構わないのですが、誤訳や訳し漏れがあっても、そのまま自然な文章として出力されてしまうことがあるので、そこは注意点としています。しかし、社外に発表するなど、より重要な内容であれば通訳翻訳チームが対応します。通訳に関しては、大体の場合は『LA』である程度わかります、と案内するとともに、本当に重要な会議なら通訳翻訳チームに依頼してください、とアナウンスしています。

ー 今後の展望と『みらい翻訳』に望むこともお聞かせください。

渕本:今でも当たり前のように通訳者が入る会議がありますが、そこはまだリアルタイム音声翻訳ツールの便利さをよくわかっていないからという面もあるので、今後も普及を進めていきたいですね。だからといって通訳者が要らないというわけではなく、人間が本当に必要な会議に集中するために、『LA』には活躍してほしいと思っています。
 
要望はモバイル版ですね。PCで立ち上げていると資料が見えにくかったり、資料と『LA』を見比べ続けるのに疲れます。モバイル版で読み上げてくれるようになれば、目は資料に集中できます(2026年8月に対応、iPhone/iPadでの利用が可能)。

舛井:モバイル版は私も欲しいですね。他言語ネイティブのメンバーを含めた会食の場でPCは立ち上げづらいので。それと、たまに途中で止まります。改善をお願いしたいところですが、逆にいうと、要望はこれくらいなんですよ。言語の通訳翻訳はもうツールで実現されたから、「英語は勉強しておきなさい」といっていた、子どもの教育方針を変えようと思うほどです(笑)。頼れる会議アシスタントとして、これからも期待しています。


※「ピッコマ」「SMARTOON」「待てば¥0」「ゼロプラ」「爆読み¥0」は、株式会社カカオピッコマの商標または登録商標です。