株式会社プロテリアル AI自動翻訳の導入 会議資料や経営報告の英語対応ニーズ増を機にセキュアな『FLaT』をグループ10,000名に展開。業務効率は向上、ストレスと翻訳コストは軽減
株式会社プロテリアルは、自動車・産業インフラ・エレクトロニクス分野を中心に、次世代の高機能材料を生み出す日本発の素材メーカーです。金属の組織・組成制御技術の知見・技術力を磨き続けることで、材料の持つポテンシャルを最大限に発揮する製品を創り出しています。グローバル展開にも力を入れており、北米、欧州、アジアを中心に複数の海外拠点を構え、高機能素材の研究開発、量産体制、顧客サポートを一体的に展開し、顧客のニーズに迅速かつ柔軟に対応しています。
同社では、2024年4月より『FLaT』の利用を開始。本記事では、情報システム本部 企画部 IT推進グループ長 佐藤 康之様、中国地区の統括会社である博邁立鋮投資(中国)有限公司 集団管理本部 董事兼 副総経理 孫 海雄様、同 IT広報部 副部長 許 思哲様に、採用の理由と活用状況を伺いました。
株式会社プロテリアル
株式会社プロテリアルは、1956年に日立金属工業として設立され、以来70年以上にわたり高機能材料分野で技術を磨いてきました。2023年には社名を“PRO”+“MATERIAL”から作られた「プロテリアル」に改め、新たなステージへと踏み出しました。国内外に工場・研究拠点を有し、特殊鋼や磁性材料、電線・自動車部品向け部材などをグローバルに展開しています。長年培った製造力と開発力を背景に、プロフェッショナルとしての決意と、プログレッシブな意志、プロアクティブな姿勢で、同社にしか生み出せないマテリアルを提供し続けています。
ご担当者様
情報システム本部 企画部 IT推進グループ長 佐藤 康之(さとう・やすゆき)様
博邁立鋮投資(中国)有限公司 集団管理本部 董事 兼 副総経理 孫 海雄(そん・かいゆう)様
同 IT広報部 副部長 許 思哲(きょ・してつ)様

目次
出発点と選択の理由:英語での会議資料や経営報告ニーズ増で求めた翻訳“インフラ”
ー 貴社の会社概要をお願いいたします。

佐藤:プロテリアルは、もともと日立金属として長年培ってきた素材技術をベースに、自動車や産業インフラ、電子部品などの分野で使われる高機能材料をつくっている会社です。2023年に商号を変更しましたが、素材メーカーとしての姿勢はまったく変わらず、お客さまの課題に寄り添いながら、より良い材料を生み出していくことを大切にしています。最近では航空機エンジン向け材料やモーターソリューションなどに注力しており、関連する設備投資や製品開発を積極的に実行しています。

ジェットエンジンや機体の材料としても使われている耐熱・耐食合金や、磁性材料などを展開
ー 皆さまの業務内容をお聞かせください。
佐藤:私は情報システム本部 企画部のIT推進グループという部署にいます。当社のDXにつながる有益なツールの導入で、業務効率向上を図っていくのがミッションです。
孫:当グループには海外拠点が米国、欧州、中国、アジアと4軸あり、私は中国拠点の統括会社において、コーポレート部門の責任者として、DXツールの利用促進を担っています。
許:私も孫董事 兼 副総経理と同じ会社におり、IT広報部の副部長として、中国各社向けにIT機器のマニュアルの作成・展開やIT監査、またプロテリアルグループの社内ポータルに載せる社内報記事の作成なども行っています。
ー そもそも貴社では翻訳業務をどのように進められていましたか。
佐藤:情報システム本部ではセキュリティの観点から「無料の翻訳ツールは使わないでください」と通知を出していました。当初は特にツールは提供していなかったため、当社で導入しているサービスで補助機能として実装されている翻訳機能を使っていました。しかし、ユーザー操作も多く、使いづらい面がありました。
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そうした中、2023年にベインキャピタルが軸となる企業コンソーシアムを新パートナーとする資本再編により、会議資料の英語作成や経営層への英語報告といった業務が増えました。中でも当時の経営企画本部の業務変化は大きく、彼らが主管となりライセンス課金型の翻訳ツールを導入しました。
導入後、利用希望者が次々と現れ、その都度IDを配布していくうちにコストが増加しました。しかし、利用状況を確認すると、全員が頻繁に使っているわけではありません。そこで「頻繁には使わないが、必要なときに安全で便利に使える翻訳ツール」を情報システム本部から用意した方が良いと考え、『FLaT』を候補に挙げました。
当時、ID無制限を掲げていたのはこのサービスしかなかったと思います。ファイル翻訳機能を持っていたことも大きかった。ライセンス課金型の翻訳ツールも当たってはみましたが、コストパフォーマンスを考慮して『FLaT』で有償トライアルを行うことにしました。
トライアルユーザーに選んだのは、利用ワード数で上位400位以下のライトユーザーと、情報システム本部社員です。全社展開を視野に入れる上では、ライトユーザー層が気に入ってくれるかどうかが重要でした。また、情報システム本部社員を対象にしたのは、『FLaT』の複数あるプランを選ぶ上で、全利用量を推し測るベンチマークにしたかったからです。
オーバースペックすぎず、かといって帯域的に不自由さを感じさせない“量”を見極めたいと思いました。“質”についてはそれほど心配していませんでした。クラウドサービスですから翻訳の質はどんどん改善されていきますし、使えば慣れていくものでもあるので、置き換えることは難しくないと予想していました。

定量と定性の両輪でトライアル検証を行った
ー 有償トライアルの後、導入をご決断いただきました。決め手はなんだったでしょうか。
佐藤:情報システム本部としては、無料の翻訳ツールは使ってほしくないという思いがあります。しかし、ただ使うなといっても、これを技術的に禁じることはできません。対策は、全社規模でトップレベルの経営情報を扱える優秀なツールを提供することで、そこにID無制限でセキュアな『FLaT』がうまくはまりました。

プロテリアル流の活用術:経営報告に全事業部が利用。中国ではグループグローバル会議資料の翻訳に活用し、6倍の業務効率向上
ー 具体的に導入はどう進められましたか。
佐藤:2024年4月に『FLaT』に移行しました。日本および中国・アジアで運用していた認証基盤と連携させ、ここにIDのあるユーザーなら誰でも利用できるようにしました。想定した最大ユーザーは10,000名です。ただ、大々的に告知はせず、スタートは知る人ぞ知るツールでした。利用が集中したらパンクすると思ったからです。前の翻訳ツールの存在を否定するつもりもなく、社内ポータルには、「このような翻訳サービスがあります」と、『FLaT』とともに、Microsoft 365内の翻訳機能やCopilotも併記して載せました。
海外拠点は、中国に関しては統括会社のIT広報部を通じて、アジアに関しては日本人駐在者を通じて展開してもらいました。日本でも最近、工場などでDXツールの説明会を開催した際に紹介するようになっています。最終的に、前の翻訳ツールは止めて『FLaT』に統一しました。理由はユーザー管理です。主管していた経営戦略本部にとって、IDの発行・回収業務がかなり負担だったようです。
ー どのようにご活用いただいていますか。
佐藤:日本では圧倒的に会議資料や経営層への報告書の作成ですね。経営戦略本部のみならず全事業部門でファイル翻訳を徹底活用しています。『FLaT』同様に使用頻度の高いCopilotとの使い分けですが、私自身、「キャッチコピー的に3つのワードで端的に表現してほしい」というときはCopilotを使います。しかし、生成AIの翻訳はプロンプトの入力方法によって結果が大きく左右されます。ユーザーに依存することなく品質の高い翻訳結果が求められる場合は、『FLaT』に一日の長があります。

孫氏
孫:私は上海外国語大学で日本語を専攻し、卒業後は8年以上にわたって上海市長や副市長の通訳を務めるなど30年以上日本語に関わってきた経験があり、その自信や自負から、長い間翻訳ソフトなどというものにいいものはないと思いこんできました。しかし、あるとき、本社から日本語文書が夜9時に届き、当日中に中国各社に伝達しなければならなくなって、ダメ元で『FLaT』を利用しました。そうしたら驚くことに、8割ぐらいはもうそのまま使える出来栄えでした。あとちょっと表現を修正すれば100点満点中の95点ぐらいのものになるということが分かって、それをきっかけに「これは仕事の効率を向上できるツールだ」と見方が一変しました。
たとえばこんな使い方をしています。毎年開かれる環境に関する会議では、日本からそれぞれ30ページほどある5つのファイルが届きます。以前は1カ月半前から翻訳を進めなければ間に合いませんでした。今は、メンバーにファイルを渡して、『FLaT』でファイル翻訳にかけ、フォントを統一するよう指示します。この作業は語学力を問わないので、まだ日本語の翻訳が難しい人材に頼んでいます。その後、私を含めて2名で内容をチェックします。1週間もかからずに完成します。6倍の業務効率向上です。中国側も中華圏の環境取り組み事例として2つファイルを作成するのですが、これは中国語から日本語へ、やはりファイル翻訳をかけます。

プロテリアルは環境への取り組みに力を入れており、モノづくりの各段階において環境価値の提供を重視する“グリーン・イネーブラー”である。具体的な活動として、環境負荷を抑えたプロセスでの製品の生産、環境親和型製品の開発に取り組んでいる
一方、財務部では、監査を受けるときに本社から送られてくる日本語のチェックリストを理解するのに苦労していました。今はチェックリストをファイル翻訳にかけたら2~3分で結果が出てきて、すぐ対応状況の確認に入れます。担当者は「すごく助かっている。今のところ不満はまったくない」と言っていました。

許氏
許:私はIT広報部として、各種ITツールや社内システムのマニュアルを中国語にファイル翻訳し、説明会などを通じて中国各社に配布しています。『FLaT』自体のマニュアルも、重要な個所を抜き出して独自に制作し、半日ぐらいで完成できました。
独学で日本語を学んだこともあって、本社とのメールのやりとりなどにも便利に利用しています。本文の内容をまず中国語で書いて日本語に翻訳、それをまた逆翻訳して、意図したとおりの内容になっているかを確認してから送信するようにしています。

ファイル翻訳はPDFやPowerPoint、Word、Excelなどの装飾やレイアウトも原文通り翻訳可能
自己紹介のときにも触れましたが、IT広報部には中国各社の活動をグループ内で紹介するというミッションもあります。私が取材に行って、写真も撮り、中国語で記事に仕立てたものを日本語に翻訳してチェックしてもらいます。その後、記事は社内ポータルに日本語と中国語で掲載されます。

導入効果と今後の展望:本社内の言語対応力が向上、中国では翻訳コストが1/12に
ー 『FLaT』の導入効果をどのようにご実感いただいていますか。
佐藤:情報システム本部としては、『FLaT』が入ったことで安心を得ました。また、当社全体としても、資料や報告を英語で求められても早く回答できるようになっていますし、「英語で対応しなければならない」という心理的ストレスが低下していると思います。英語が堪能な人に業務のしわ寄せがいく事態も解消されています。
孫:中国では、どうしても高品質の翻訳が必要な場合、外部の翻訳会社に発注していました。3日程度で納品されるため迅速ではあるのですが、コストとして月10万円、年間120万円ほどかかっていました。今は年1~2件に減少しており、年間10万円以下に軽減しました。このコスト削減効果は大きいです。当社の総経理も「社員数が減少している中、皆さんが仕事と生活のバランスを取るために、このようなツールの活用は重要です。どんどん使ってください」と奨励しています。
ー 『FLaT』へのご要望や今後の展望をお聞かせください。
許:活用をさらに促進していくために、検討してほしい事項がいくつかあります。1つめは、図版の中の文字もOCRなどを駆使して翻訳の対象にしてほしいこと、2つめは、分野特化のモデルとして「法務・財務モデル」がありますが、これと同様に、環境モデル、製造モデル、ITモデルも開発してほしいこと、3つめは、iPhoneなどモバイルでも利用できること、です。
孫:私は辞書として、個人が登録しても組織で強制適用できるような機能を望みたいですね。
佐藤:『FLaT』の利用をどんどん広げたいと考えています。孫さん、許さんのような伝道者の存在は大きいため、アジアに関してもこのような形で取り組んでいきたいです。アメリカとヨーロッパも認証基盤そのものの連携にめどが立っていて、2025年度内には展開を実現させたいと考えています。言語コミュニケーションに関して、グループレベルでまったく“気にならない”状態を作っていきたいですね。
