パナソニック AI自動翻訳の導入事例 セキュリティ要件の高い壁を越え、経営スピードアップへも貢献

全世界で24万人強の従業員が働き、約500社のグローバルに広がる関連会社を持つ総合エレクトロニクスメーカー・パナソニック。生活家電のイメージをお持ちの方も多いかも知れませんが、それ以外にも電設資材や住宅建材、物流などのサプライチェーン、自動車関連、BtoB向けの電子部品など多種多様な事業を世界中で展開しています。

同社では、2019年より『Mirai Translator®』を全社で導入いただいています。本記事では、その背景と現場での使用感を、パナソニック株式会社イノベーション戦略室の濱崎 省吾氏、オートモーティブ社インフォテインメントシステムズ事業部の宇佐美 陸氏に伺いました。

パナソニック株式会社

パナソニックグループは、”A Better Life, A Better World”をブランドスローガンと掲げ、お客様一人ひとりにとってのより良いくらし、より良い社会の実現に向けて、新たな挑戦をしています。

イノベーション戦略室 戦略企画部 濱崎 省吾(はまさき・しょうご)様
オートモーティブ社インフォテインメントシステムズ事業部 宇佐美 陸(うさみ・りく)様

課題:高い情報セキュリティ要件に対応できるサービスがなかった

左:パナソニック 濱崎氏、右:パナソニック 宇佐美氏
左:濱崎氏、右:宇佐美氏

ー はじめに、お二人が現在取り組まれている業務を教えてください。

濱崎:私が所属するイノベーション戦略室では、パナソニック全社の技術戦略の策定と推進、オープンイノベーション推進などを担っています。その中で、私は最先端の技術やビジネスモデルを保有するスタートアップの探索と、技術スカウティングを担当しています。

宇佐美:私が所属しているインフォテインメントシステムズ事業部では、カーナビゲーションやカーオーディオ、IVI(In-Vehicle Infotainment system)コックピットなどを開発しています。その中で私は、カーメーカー向けのIVIのシステムテストを担当しています。北米、南米、欧州、東南アジアなどの現地エンジニアとやり取りをしながら、海外でのシステムテストを推進しています。

ー 導入の経緯について教えてください。そもそもどのような課題感があったのでしょうか?

濱崎:実は、課題ありきではなく「技術」が起点だったんです。我々の部署では普段から世界中のスタートアップを調査して、新しいビジネスモデルや技術を見つけ、一緒に商品をつくったり、業務効率化を考えたりしています。

みらい翻訳さんと出会ったのは、音声翻訳事業を手がけようとしていた事業部が、その技術に注目したのがきっかけでした。議論の場に参加する中で、音声ではなくテキスト翻訳の技術を社内に導入できないかと考えたんです。

ー もともと、社内では別の翻訳ツールを使われていたのでしょうか?

濱崎:いえ、基本的には担当者のスキルでカバーしていました。ニーズ自体はあったのですが、どうしても情報セキュリティの要件で折り合いがつかず。翻訳サービス会社へ依頼していた例もありましたが、費用や時間もかかります。また、翻訳する言語も英語だけとは限らない。そういった背景もあり、全社での動きはありませんでした。

ー 実際、お二人もお仕事をされる中ではご自身で翻訳をされていたのでしょうか?

濱崎:そうですね。私の部署では、日頃から海外企業と接する機会が多く、世界中のベンチャー企業からのメールやプレゼン資料にも目を通します。この業務では、いち早く有望な企業を見つける“スピード”が重視されます。英語の資料を効率良く分析できるかは業務上優先度の高い課題でした。

宇佐美:私の業務では、ドキュメントを海外のエンジニアに送り、現地で機能テストをしてもらいます。テストの内容や方法を記した書類は全て日本語で作成するため、これまでは翻訳者に依頼したり、日本語ができる現地エンジニアに依頼したりしていました。しかし、テスト項目は1万件以上あり、人による翻訳では時間がかかっていました。

ー 最初は技術から出会ったとはいえ、導入にあたっては他サービスとも比較検討されたかと思います。その中、Mirai Translator®を選ばれた理由を教えてください。

濱崎:これまでも一番の「壁」になっていた、情報セキュリティの観点です。社内には厳密なルールがあり、導入にあたっては情報セキュリティ部門や管理部門とともに、精査しなければいけません。

導入準備の段階で、みらい翻訳さんにも都度、質疑応答・調整いただき、対応できるかを検証していきました。サーバーの所在地や運用体制など、大企業ならではの厳しい要件だとは思いますが、「情報漏えいにつながるリスク」の排除は必要不可欠ですから。

ー 翻訳精度の観点は議論に上がりましたか?

濱崎:もちろんです。みらい翻訳さんからも情報は頂いていましたが、当社は社内に言語処理を手がける研究部門がありますので、そこの技術者に性能評価を依頼。精度の高さも確認しました。

導入後の感想:リサーチ速度は向上、コミュニケーションハードルは低下

ー 導入に際しては、トライアル期間を設けたと伺いました。

濱崎:最初に研究開発部門と企画部門の約1,000人を対象に、1カ月間トライアルをさせていただきました。社内には多様な職種・職責をもった従業員がおります。翻訳ツールの導入がはじめてというのもあり、どれだけ皆に刺さるのか検証、可視化すべきと考えたんです。また、調査結果がよければ、予算も執行しやすくなるという狙いもありました。

アンケートでは、正直予想以上の数字で、「皆英語で苦労していたんだな」と感じましたね。これをもって、導入範囲を広げていきました。

ー 実際、業務ではどのように活用されているのでしょうか。

濱崎:私個人では、日々の英語でのインプットがかなり効率化されました。分厚い英語の文章でも簡単に概略が読み取れるようになり、自分が求めている情報を短時間で見つけやすくなった印象があります。

グループ内では、現在国内外の従業員数千人が利用し、担当業務によってさまざまな使われ方をしています。よく聞くのは、日本と海外拠点とのコミュニケーションですね。日々の情報共有はもちろん、日本の経営陣が考える方針を最短で世界中へ伝えるという意味でも、あらゆる事業の速度に寄与していると感じています。

宇佐美:まさに、海外拠点とのやりとりは、私の業務で特に活かされている部分です。日本語で作られた評価仕様書や評価方法、環境構築資料の翻訳、それに伴うメールでのコミュニケーション、いずれもMirai Translator®が役立っています。

翻訳したドキュメントを送るだけでOKというケースはほぼなく、細かいニュアンスや、仕様について質疑応答が必要です。そのやりとりは基本的に英語なのですが、Mirai Translator®を導入してからは、精度とスピードの双方で、かなり改善している感覚があります。

何よりも、「英語でコミュニケーションする」という心理的ハードルが下がったことが大きいですね。以前は「あ、あの情報を伝えた方がいいかも」と思っても、英文メールを書く心理的なハードルが高かったのです。それが今は、気軽にできるようになり、現地のメンバーと密にコミュニケーションを取れています。

また、数を重ねてくると、「翻訳しやすい日本語」も理解できてきます。するとメールでのやりとりはもちろん、日本語ドキュメントの書き方なども工夫し、コミュニケーションコストをさらに下げられるようになってきました。

今後の展望:グローバルで展開する日本企業皆が持つハンデを越えて

ー 翻訳業務の効率化によって、より時間を使いたい業務はありますか?

濱崎:私自身の業務推進はもちろんですが、個人的には海外駐在している日本人従業員にこそ活用して欲しいと考えています。私自身アメリカに駐在していたのですが、駐在先では日本語で送られてくる資料を現地の人へ伝えるべく翻訳するという業務が結構頻繁に発生するんです。

時には、それが業務量として負担になるときもある。それを少しでも減らしてあげられると、よりよい働き方も実現できますし、現地に居るからこそ発揮できる価値を最大化しやすくなるんじゃないかと考えています。

宇佐美:私は、シンプルに言えば「製品品質」へもっと貢献したいです。テストの翻訳やそこでのコミュニケーションは、あくまで品質を支えるための道筋でしかないと思います。それをより短時間で完了することで、お客様が価値を強く感じる部分へより多くの時間を使いたいです。

ー 最後に、Mirai Translator®導入をご検討されている方へコメントをお願いします。

濱崎:これは、導入に当たってトップマネジメント層と会話した際に出た話なのですが、この「言語の壁」は、パナソニックだけではなくグローバルな事業を手がける多くの日本企業がもつハンディキャップです。その中、こうしたツールがあれば国際競争力の向上にもつながっていく。当社に限らず、こういったニーズはあると思います。

宇佐美:私自身、英語には苦手意識がありました。ですが、Mirai Translator®を使うようになってからは、海外拠点とのやりとりも、当たり前のように進められるようになりました。もし同じ感覚を持つ方がいれば、ぜひ活用していただきたいです。

濱崎氏の単独インタビューもご覧ください

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